山口真由

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2020.12.23インタビュー

山口真由さんが語る、コロナ禍の中で見えてきた「学び」の本質

新型コロナウイルスの影響でライフスタイルにはさまざまな変化が見られた。そんな中で、「自分の生き方」について深く考えるようになった人も少なくないだろう。

そこで肝要なのが「学び」である。新たな時代を迎えるにあたり、自分を変容させ、常にアップデートさせていくためには、「学び」によって知識を蓄積していく必要があるからだ。

2020年12月より配信中の、日本財団が主催するオンデマンド動画配信プログラム「STARTLINE(スタートライン)」では、コロナ禍を経た新しい時代にまつわるさまざまなテーマを掲げ、有識者のトークセッションをお届けしている。

その一環として、「学び」の大切さを考えるトークセッションも行われた。予防医学研究者である石川善樹(いしかわ・よしき)さん、ミネルバ大学に通う清水悠太郎(しみず・ゆうたろう)さん、信州大学特任准教授で法学博士・ニューヨーク州弁護士の山口真由(やまぐち・まゆ)さんの3人が『「卒業」からの、卒業』と題し、「学び続ける生き方」について考えている。 そこで今回は、「幼い頃から学ぶことが大好きだった」と話す山口さんに、「学びの本質」について伺った。

――コロナ禍で「学び」に対する考え方は変わりましたか?

山口さん(以下、敬称略):大きな発見がありましたね。それは「人は時間があるから勉強するわけではない」ということです。今年、コロナの影響で講演会や研究会がキャンセルになり、自分の時間がたくさんできました。でも、その時間を勉強に当てたかというと、そうではありません。

アウトプットする機会が減ると、そもそも勉強する気力も湧かないんです。私は自分のことを「他者よりも学ぶことが大好きで、霞を食べるように勉強してきた」と思っていました。でも、学んだことを世に出す機会を奪われてしまったときに、学びの意欲が低下してしまったんです。

――でも、発表する機会のために学ぶのは悪いことではないですよね?

山口:そう、何か目的があって学ぶことを否定してはいけないと思います。学びや勉強というのはときに高尚な行為として捉えられがちですが、「誰かに評価されたい」「人に発表したい」という想いから学ぶ行為も同じくらい大切なこと。そもそも、私だって承認欲求の塊なんです(笑)。

誰かに認められたくて、一生懸命勉強する。もちろん、他者からの評価だけを指針にしてしまい、それに左右されるのはあまり勧められたことではありません。ただ、「評価されたい」という気持ち自体は悪いことではないですし、むしろそれがなくて延々と壁打ちをするように学び続けるなんて難しいことだとも思います。

山口真由 インタビュー01

――どんな理由であれ、学ぶことはとても大切なことだと。

山口:生活に余裕があって、余剰の時間を使い、自分の好奇心を満たすために学ぶこと。そして、資格試験や出世のため、つまり生活を良くするために学ぶこと。私たちはつい前者ばかりを尊い行為だと思ってしまいますが、本当はどちらも大事。学びに優劣なんて存在しないんです。

――その一方で、時間ができたものの、どんなことを学べばいいのか分からない、という人もいると思います。

山口:何を学ぶかを決めるときに、「社会からの評価軸」と「自分の情熱軸」の2つがあると思うんです。その2つが交わる領域の学びを深めていけたらベスト。でも、これからの時代は、仕事や評価とは無縁の副領域を深めていくことも素敵なことだと思います。

例えば、お金には結びつかない趣味の領域をどんどん深めていく。それがいつしか本業になっている可能性もありますよね。だから、どんなことを学べばいいのか分からない人は、情熱を注げる領域に突っ走ってもいいんじゃないかなと。

私は大衆小説が大好きで、暇さえあればとにかく読んでいるんです。すると、中には「純文学じゃなくて、大衆小説なんか読んでるの?」なんて言ってくる人もいます。

でも、自分の好きなものを他者から否定される筋合いはない。好きなものに誇りを持つべきだと思います。それに、どんなものからでも学ぶことはたくさんありますし。いま流行っている漫画『鬼滅の刃』にもたくさん学ぶことは詰まっていますよね。

山口真由 インタビュー02

――他者の目線や価値観を気にし過ぎず、好きなものを追求するべきなんですね。

山口:いまはばかにされるかもしれないけれど、それが数年後に評価される可能性だってありますからね。昔は「オタクな人たちが好むもの」だったアニメだって、いまや世界から評価されている日本のカルチャーになりました。そう考えると、むしろまだ誰にも評価されていない領域に興味を持ち、そこに情熱を注げる人はとても幸せだとも思います。社会が追いついていないだけなんですから。

分かりやすい例を上げると、動画もそうですよね。面白い動画が大好きで延々とそれを観ていた若い子たちが、いまやトップYouTuberとして大金を稼ぐようにもなった。時代はどんどん変わっていくものなので、自分の好きなものが「いま」評価されていなかったとしても、それはあまり関係ないと思います。

――でも、たった一人で「好き」を追求していくのは大変なことでもあります。

山口:その気持ちは分かります。繰り返しますが、アウトプットできる場がなかったり、誰からも評価してもらえなかったりする状況で学び続けることは簡単ではありませんから。

そこでチャレンジしてもらいたいのが、オンラインサロンです。似たような目的や趣味、志向を持つ人たちが集まるので、「面白い」と思ったことを共有しやすい。そこで自分が学んできたことを共有するのは、立派なアウトプットですし、何より楽しいですよね。

特にいまはコロナで他者と交流することが難しくなっているので、共通項のある人たちと話ができるオンラインサロンは「好きなこと」を学んでいきたい人にとってはとても有益な場だと思います。

山口真由 インタビュー03

――SNSから情報収集したり、たくさん流れていく意見から学んだりする手法についてはどう思いますか?

山口:SNSは多様な意見が見られますが、どうしても偏ってしまいますし、フェイクニュースも多い。それだけをうのみにしてしまうと、分断が生まれてしまうと思います。だからやはり大事なのは、文献に当たること。編集者さんが公平な姿勢で作った文献は、一次情報として貴重なものです。

そして、SNSを見ていて思うのは、誰にだってバイアスがあるということ。私自身にも強いバイアスがあると思います。でも、それに気付いて、他者への寛容さを持つことが大事ですよね。そうすれば、やがて分断が埋まっていくのだと思います。それもまた学びの1つですね。

――「STARTLINE」では『「卒業」からの、卒業』と題して、石川善樹さん、清水悠太郎とトークセッションされました。視聴者に伝えたいことはありますか?

山口:セッションに興味を持つ方は、「これから学びたい」という意欲を持っている方だと思うので、その時点で皆さんがすべきことは8割終わっていると思うんです。

まずは「学びに対して積極的になろう!」というのが私の伝えたいことなので、セッションを観てくださるだけでうれしい。それを踏まえた上で言うとすれば、石川さん、清水さん、私、それぞれの意見は良いも悪いもないということ。

人によって賛同できるもの、できないものがあるとは思いますが、「こういう考え方もあるんだな」と受け止めて、これからの学びに生かしてもらいたいんです。三者三様の意見を知り、学びへの一歩を踏み出してもらえたら。そのお手伝いができれば、私としても最高ですね。

〈プロフィール〉山口真由(やまぐち・まゆ)

1983年札幌市出身。2002年、東京大学教養学部文科Ⅰ類(法学部)入学。「法学部における成績優秀者」として総長賞を受け、2006年卒業。同年4月に財務省に入省し、主税局に配属。主に国際課税を含む租税政策に従事。2008年に財務省を退官。

2009年~2015年、弁護士として法律事務所に勤務。
2015年9月~2016年7月、ハーバード大学ロースクール(法科大学院)に留学。
2017年6月、ニューヨーク州弁護士登録。
2020年3月、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)
2020年4月、信州大学特任准教授。

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